内業調査
1.遺物の洗浄
 出土した遺物は土などが付着しているため、これをきれいに洗います。
遺物を傷つけないように丁寧に洗っていきます。
2.遺物への注記
 出土した遺物の1点1点に注記を行います。この作業は、その遺物が何時、どの場所のどの土層から出土したのかを記録するためのものです。
こんなに小さく書くのです!!
埋蔵文化財資料館では、台帳で遺物の管理を行っているため、遺物に記入された番号を見ればそれがいつ何処から出土した物なのかが分かります。
3.遺物の接合
 出土した遺物が破片の場合、同じ個体の物を探してくっつけていきます。経験とともに根気の必要な作業です。
くっつく場所をねばり強く探していきますここでの頑張りが考古学的な研究を支えているとも言える重要な作業です。
4.石膏による遺物の復元
 接合作業でパーツの足らなかった部分には、石膏を入れて復元します。この作業にも経験と手先の器用さが必要です。
5.遺物の実測
 できる限り遺物を接合した後、その遺物の図化作業を行います。遺物の特徴を見極め、図面上に表現していきます。繊細な作業なので、非常に神経をつかいます。目も疲れます。
これが完成した遺物の実測図です。土器などの図面では、左半分に真正面から見た図を、右半分にはその遺物の断面を描きます。つまり、器の手前右1/4が切断されているような図になります。
6.報告書の刊行
 以上のような作業を経て、発掘調査の報告書を刊行します。報告書には、外業調査の記録と内業調査の記録、そしてその遺跡に対する考察が記載されています。
 報告書を刊行することによって、考古学を研究している人々や市民の皆様に遺跡の存在とその性格を公表することになります。
7.出土遺物の収蔵
 すべての作業が終了した後、山口大学埋蔵文化財資料館では、展示する以外の遺物と各種の記録類を整理して収蔵庫に収めています。
 報告書を読んだ人から実物が見たいという要望を受けた場合には、迅速に探し出せるように整理しておくことが大切です。
 以上が、遺跡の発掘調査のおおまかな流れです。調査は一見地味な作業の連続ですが、人類が地上に残した足跡を記録し、復元するという大きな役割を担っています。
 山口大学埋蔵文化財資料館は、出土遺物の展示・収蔵だけではなく、発掘調査の役割や楽しさを市民の皆様にお伝えできるような施設でありたいと考えています。
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