大学会館 井戸
井戸1枠板検出状況(北西から)
井戸1 平面図・断面図
遺物出土状況(南東から)
出土遺物
井戸1
この井戸は、平面形態が方形であり、長辺が1.25m、短辺が1mあります。この調査区全体が後世に大きく削平を受けているため、深さはわずかに0.2mほどです。
内部には、横板を用いた井戸枠が残っていました。枠板の一部には矢板が転用されていました。
また、井戸の底面から出土した土師器の特徴から、この井戸は古墳時代中期に造られた可能性が高いといえます。
井戸2検出状況(南西から)
井戸2 平面図・断面図
井戸2
この井戸は平面形態が円形です。井戸1と同様に上面が後世の削平により大きく削られてしまっていますが、検出状況では直径約1m、深さ約0.35mを測ります。
底面は2段に掘り窪められており、その上段部分には板石を用いて湧水処理の工夫がなされていました。またこの板石の上には厚さ約2cmの曲物(薄い木材を曲げて作った容器)を井戸枠(井筒)として使用していることが確認されました。
底面の板石の上からは須恵器の小片が出土していますが、詳細な時期に関しては不明です。
井戸3
平面形態がほぼ円形の井戸です。後世の削平により、直径約0.7m、深さ約0.1mの規模でわずかに井戸の底面が残っていたに過ぎません。
井戸2同様に井戸枠には曲物を用いていましたが、板石は確認されませんでした。
井戸の底からは平安時代の土師器が1点出土しました。
井戸3 平面図・断面図
井戸3検出状況(南東から)
出土遺物
井戸6 平面図・断面図
井戸6検出状況(北東から)
井戸6
この井戸は、長軸約3.9m、短軸約3.6mの不整形な平面形態をしており、深さは約0.6mです。井戸枠などの施設は確認できませんでしたが、底面の南東隅に直径約0.9mのピットが検出されました。
このピットの中からは、井戸の祭祀によるものと思われる土師器の皿が多数出土しており注目されます。
このピットからの出土遺物の時期は鎌倉時代に、また井戸内埋土の上層からの出土遺物の時期は室町時代に該当しており、この井戸の使用期間が推定できます。
井戸6底面ピット内出土遺物
井戸6上層埋土出土遺物