メディア基盤センター江戸時代の遺構

井戸1
掘立柱建物2
掘立柱建物1
埋甕3
埋甕2
井戸2
調査区平面図
 この調査区では、弥生時代以降の様々な時期の遺構が検出されています(右図参照)。その中でも、吉田構内における江戸時代の集落構造が確認できたことが最も重要な成果と言えるでしょう。
 江戸時代の遺構としては、井戸2基、埋甕3基(1基は試掘段階で検出されたため詳細は不明)があります。この他にも、遺物は出土していませんが掘立柱建物2基が検出されています。井戸や埋甕との配置関係から、同じ時期に建てられていたものと考えられます。
 この遺構面の上に堆積する土層内からは17世紀の遺物が出土するため、これらの遺構は17世紀前半に形成され、短期間に廃絶したのでしょう。
 吉田構内には、室町時代の屋敷跡が本部2号館の調査で確認されています。その調査とともに、この地域における中世から近世にかけての集落の構造を解明する上で非常に貴重な資料を得ることができた調査区と言えます。
井戸1 平面図・断面図
井戸1出土 木・竹製品
井戸1完掘状況(東から)
井戸1
 この井戸は、調査区の東半中央部付近に位置しています。井戸の平面形態は楕円形であり、最大径が約2.5m、深さは約0.75mを測ります。
 底面には多くの自然石が散乱していました(下写真参照)。出土遺物としては陶器の小片の他に木・竹製品(右写真参照)などがあります。
井戸2完掘状況(東から)
井戸2 平面図・断面図
井戸2出土遺物
井戸2
 この井戸は、調査区の南端中央部付近に位置しています。平面形態はいびつな円形で、直径は約1.8m、深さは約0.5mを測ります。
 底面からは、自然石とともに土師質土器の甕1個体が投げ込まれた状態で検出されました(右上下写真参照)。その他にも、陶器擂鉢、磁器椀、瓦、植物遺体などが出土しています。
埋甕2完掘状況(西から)
埋甕3完掘状況(西から)
埋甕2・3平面図・断面図
埋甕
 埋甕とは、土を掘り窪めてその内部に甕を設置している遺構のことです。埋甕の用途に関しては、明確に分かっているものは少ないのですが、現在までにその用途が確認されているものや民俗資料の観点から、便器や肥溜めの用途、水や調味料、穀物・保存食などを貯蔵する用途、埋葬用の棺としての用途が考えられます。
 この調査区での埋甕は、掘立柱建物1の南東側に南北方向に並んで検出されました。用途に関しては不明ですが、埋甕に附属する施設が見られないことから、屋外に野ざらしの状況で設置されていたようです。おそらく、甕の口には蓋をして何かを貯蔵していたのでしょう。
メディア基盤センターのトップページに戻る