落とし穴完掘状況(西から)
落とし穴想像図
落とし穴
落とし穴平面図・断面図
この落とし穴は、河川跡の北西肩部のすぐ脇で検出されました。おそらく、河川に水を飲むために集まる動物を捕獲するために設置されたのではないかと考えられます。
落とし穴の形態は、長辺約1m、短辺約0.8mの長方形をしており、底面までの深さは約0.25mです。また、底面の中央には直径約0.2mの円形のピットが掘られています。このピットは深さ約0.6mであり、内部には6個の板状の石が詰め込まれていました。この石の中央部には空間が存在するため、何かを固定するためのものと考えられます。
このような状況から考えると、この落とし穴は右下図のような使われ方をしたのではないでしょうか?
この遺構の内部からは、縄文土器の小片と石器の剥片が出土しています。これらの遺物からはこの遺構の時期は推定できませんが、落とし穴の上面には縄文時代晩期中頃の遺物包含層が堆積していること、また同じ面で検出された河川跡からも縄文時代晩期中頃の遺物が出土していることから見て、ほぼ同時期に作られたのではないかと考えています。
この調査区では、弥生時代以降の遺構を検出した基盤層中に縄文土器が含まれていることが確認されました。そのため、調査区の数カ所でトレンチ調査(限定的な範囲内を深く掘り下げる調査)を行ったところ、大規模な河川跡と落とし穴が検出されました。
河川跡は、調査区南半部を北東から南西に向かって蛇行しながら流れています。川幅は、この調査区の南方で試掘調査を行った地点でも確認されているため、約29m以上のものであったことが判明しています。深さは、最も深い部分で約0.8mです。
この河川跡の埋土からは、縄文時代晩期中頃の土器や石器が出土しています。